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一瞬目を丸くして驚くが、直ぐにまた、ニコッと笑い、首を横に振る。
「何も無いって。
聖くんには、何か遭った様に見えたかもしれないけど、本当に何でもないから」
笑顔で制止……された様な気がして、蓮は、それ以上…聞けなかった。
「そう、ですか……でも、無理はしないで下さい」
「うん、ありがとう…蓮くん」
2人が話していた時、2回ノックする音がして、女性の声がする。
「穏さん、いらっしゃいますか?」
「はい、どうぞ」
「失礼致します」
入って来たのは、穏のマネージャーの久保田 葉月と言う、パンツスーツが似合う、ロングヘアーに黒縁眼鏡の女性マネージャーは、蓮に気付いて、ふわりと微笑む。
蓮は会釈して、穏に話し掛ける。
「穏さん、この方は?」
「ん?
マネージャーの葉月ちゃん」
ネイビーのジャケットに白のタイトスタイルの丸首Tシャツとネイビーのパンツと黒のオープントゥーのハイヒールサンダルを履いている。
「こ、コホン」
名前で呼ばれるのが恥ずかしいのか、わざとらしく咳払いをして話題に入る。
「それよりも、穏さんに幾つかお仕事が⎯⎯」
蓮は聞いてはいけない気がして立ち上がり、会釈して出て行く。
「1つは、バラエティー番組出演です。
アイドル・吹雪の冠番組・【吹雪にしやがれ】の【グルメデスマッチ】と言うコーナーへの出演です。
もう1つが、Acid Dark Cherryとして、ショッピングモールで行われる歌のイベント出演が有ります。
他にも、ビールのCMやドラマ出演、クイズ番組の出演などが有ります」
「えっ!?Σ待って葉月ちゃん!
ドラマ出演って……それに、の吹雪の番組出演……」
驚き過ぎて、頭が付いていけない穏は混乱しそうになる。
穏はそれ程、メディア露出は高くない上に、『テレビ出演は苦手だ。』と言っていて、断り切れない時は深夜の番組だけ、たまに出演してるくらいで、出来るだけ断っているのだ。
「世間に穏さんを知ってもらうチャンスだと思うんです!
国民的アイドルの番組に出演したとなれば、穏さんの人気に箔が付くってものです」
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