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そう言って銃を構えると引き金に指をかけーーーー。
「やめろ」
その腕を掴まれた。橘にだ。
「なんで?祥くんを、殺そうとしたんだよ」
「俺は生きてんだろ。これ以上は正義じゃない、ただの暴力。もう十分だ。だから……やめろ」
「……うん」
牡丹は憑き物が落ちたように素直に銃を下ろす。そして橘に銃を渡した。
それを見て安堵した橘は、美奈の連絡でようやく中に入ってきた警察に状況説明をしに向かった。
人質も無事に解放され、犯人達も捕まる。
牡丹は、自分が痛めつけたリーダーが連れて行かれるのを見届けて、橘の方へ駆け寄った。
***
「と、いうわけで、改めてお疲れ様でしたーってことでね。はい乾杯」
「かんぱーい」
「だからっ、なんで俺の家でやんだよ」
ショッピングモール立てこもり事件解決後、3人は改めて非番がかぶった日に先日食べそびれたケーキを食べる会をしていた。
「だって、こないだはケーキ結局あの騒動で潰れて見る影もなかったし。だからこそ、今日は絶対に逃せないのよ」
「それと俺の家でやる理由はイコールにはなんねぇだろぉが」
橘が舌打ちをする。そんなことは関係ないという風な牡丹と美奈には何の効果もないのだが。
美奈がケーキを取り出す。それを見た橘の顔は苛つきから呆ける顔をした。
「あ?なんだよそれ」
「え、ケーキだけど」
「なんでそんなに大量なんだ?」
美奈と牡丹は8こほどケーキを買ってきたのだ。橘が思わず突っ込むのもわかる。
「だって、本当はホールがよかったんだけど、売り切れで仕方なく個別にしたのよ。3人で食べるって考えたらこれくらい必要かなって」
「いや、だからって……」
「祥くんおいしそうだね!それにさ!1個や2個じゃ足りないし!いろんな味を食べれていいね!」
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