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CHERRY POCKET
「友清様ですねー」
受付してもらっている間ちらっと中を見ると、客席はすし詰めだった。料金を支払っていると肩を叩かれた。
「友清さん、ほんまに来てくれはったんですね」
振り返るとうるましんがきらきらした笑顔で俺を見ていた。不思議なもんで、電車で会った時の三倍くらい可愛い気がする。
「きゃあ! うるるや!」
「超可愛い!」
揃いのTシャツに揃いのタオルを首に下げた若い客がうるましんに手を振ると、「ありがと、楽しんでね」と返して、うるましんは俺に一礼してから颯爽と裏へ姿を消した。
何やねん、しっかりファンもおんのかいな……。俺としては、アマチュアバンドが何とかツテを駆使して客をかき集め、赤字同然で開いているライブだと思っていたのだが、俺より知名度と人気がありそうで焦った。始まるまでひたすら煙草を吸った。
19:00、流れていたBGMが消えた。そして、更に大きな音楽が鳴ると、彼女率いるスリーピースバンドがステージに現れた。
客からわっと歓声が上がる。
「皆様こんばんはー! CHERRY POCKETでーす!」
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