第一章

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第一章

私のお母様は、私の様な、何もできない人を嫌いました。私のお兄様も、お姉様も、同様になにもできない人を嫌いました。 私は、もう、そこで愛されないのではないかと思っていました。それからと言うもの、賢くなれる様に、何もできない人間にならない様にと、勉強も、怠らず、死んでしまいそうなほどに、全てを全力で尽くしたつもりでした。 『努力は必ず報われる』と、言いますが、そんなことはないのです。いいえ、私は、この言葉を信じ過ぎてしまったのです。何も報われませんでした。私の努力は無駄だったのです。最初は全てを疑うことから始めた方がいいのです。私の努力は、この言葉を疑わなかったことによって、無に還ってしまったのです。そんな勉強から、逃げる事はしませんでした。何故か、それは、私は、そのほかに何をするべきなのかが、よく、わからなかったのです。 私は学校がとても苦手でした。私よりも、賢くて、優しく、お母様の望む様な、そんな人がいるからです。その人は、私がどんなに、私が望んだ評価じゃなくても、褒めてくださります。それでも、私は、どこか、納得がいかないのです。私はお母様に褒めて頂く事が一番だったからでしょう。お母様に褒めて頂くには、お姉様、お兄様より、もっと、高い評価を取らなければなりません。ですが、私は、お姉様達と、比べてしまうと、天と地ほどの差があるのです。もしかしたら、それ以上なのかも知れません。少しの差も駄目なのです。私が高い評価を得るしかないのです。お母様に褒めて頂くためなら、勉強など苦ではなかったのです。だって、私のお母様は、小鳥の様に可愛らしく、そして、天使の様にお美しい方なのですから。 それから、私は勉強のしすぎて、とうとう、目が悪くなってしまいましたので、眼鏡をかけてみたのですが、目が疲れるのです。そんな時に、眼鏡をかけずに空をぼーっと、みた時の景色がとても好きなのです。それは、まるで、夢のような、覗き絵のように素晴らしく、綺麗なものでございましたから、つい、見惚れてしまうのです。私が勉強に疲れて、寝ようとするときに、ただ訳もなくこんなことを考えるのです。明日もまた、同じ日が来るでしょう。愛される日は、一生来ないのでしょう。それはわかっています。けれども、きっと来る、明日は来る、それを信じようと浅い浅い眠りつくのです。 これが、私の1週間前の話です。 お母様?お兄様?お姉様?私をどこに連れて行くのですか……?本当に、私は捨てらてしまうのですか?そう、ですよね。私が悪かったのですよね。私が、お母様の、望む様な、人ではなかったのですよね。私みたいな脳なし、貴方達から、したら、要らない人です、よね。 申し訳ございません。貴方達の迷惑にならない様に、遠い遠い、どこがで、生活します。さようなら。 私は、その後、南極の様に寒い冬の晴天の日の道端で、膝から崩れ落ち、親のいないか弱い子鹿の様に震えながら、泣きじゃくりました。 泣きつかれた私は、少し歩き、人の少ない、路地裏で、一休みしようと思いましたから、それで、路地裏に入り、目を瞑りました。 私が、目を覚ました頃には、もう、辺りは暗くなってしまいました。どうやら、私は、昼に寝てしまったのでしょう。 さて、私は、どこで暮らそうかしら。家もなければ、一文無しでは、もう生きていけませんから、私はそんなことを考えながら、路地で寝る生活を続けていました。 私は、この生活に嫌気がしてきました。
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