プロローグ

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プロローグ

嗚呼、お母様、その様な顔をして、私を見ないでください。 お兄様、お姉様、私を見捨てないでくださいまし、私の、私の、悪いところ、全て、全て直しますから、どうか、どうか、私を見捨てないでください。お願いです。お母様、私は賢く、謙虚に、あなたの望む様な女性になりますから……本当に、本当に、私を、見捨てないでください。もっと笑顔で、笑顔で、元気よく、明るく、そう、振る舞えば、良いのですよね、申し訳ございません。私にーーー まで、言うと、もう、声が出なかった、私は愚か者です。本当に。 こうなると、最初から、わかっていたかもしれません。愛されてなんて、いない。考えていました、毎夜、毎夜布団に入り、どうするべきかと、考えておりました。 私は、一度、本当に、たった一度、誤解を招く様な、そんなことを言ってしまったのです。その人は、私の婚約者でしたが、結婚を間近にし、私はそんな、ことを言ってしまい、結婚など出来ず。私はお母様から、したら、いいえ、どこからどう見ても、私が悪いのだけれど、お母様からしたら、目障りでしかない、それに加え、私は、お兄様、お姉様の様に、とりわけ、賢くもなければ、お母様の様に謙虚で、美しさが、あるわけでもない。なんの取り柄もなに、何もない様な、いいえ、様なではなく、何も、本当に何も、なかったのです。 私はいらない子なのでしょう。何もできない、価値のない人でしょう。特技もなければ面白くもないただの必要のない人間なのでしょう。
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