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プロローグ
東国の鎧で豊麗な胸部を包んだ美女は言った。
「立たぬかッ!そんな子に生んだ覚えはないわ!…腕が斬り落とされたり、脚の骨を叩き折られたのでは、なかろうに!……これをみよ。木太刀(きだち)を用いておるのだぞ。これが真の槍であったのならば、とうにそなたは私に突き殺されているであろう。………立てぇい、気弱な娘!…私にはそなたを叩き出す覚悟があり、用意はできておるのじゃ。……わかったか、ファニー?」
「う、ぅぅ……は、はいぃぃっ……は、はは、うえぇ…うう、うう、ぅぐっ、ううっ…」
小さな鎧を装着した女の子はしゃくりあげつつ、立ち上がって木刀を握った。
「………よろしい。良い子ね……きなさい」
美女は距離を取って、構えた。
「…………う、う、ぅわぁ、あああ、ああぁぁぁーーーーッ!!!!」
女の子は涙を飛び散らせながら、実の母へ突進していった。
鋼の瞳をした美女は実の娘へ木刀を本気で振るった。
「………ぁ…ぁぁ、あああ………はぁあ〜〜〜……はっ…は……はぁ…」
見守っていた父は、気疲れで床にへたり込んでしまった。
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