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四つの結晶(2)
ローズマリー「あはははは…なにも、不安になることないんじゃない…」
エーファ「ふふふふふふ…」
アンゲリカ「…先生、ほんとにすっごいわぁ」
「…い、いいのですか…師よ…そんな…」
シュテファニーは笑いつつも、女へ問うた。
女は答えた。
「うふふ…心配ないって。…わたし、知っているもの〜」
シュテファニー「??……は…はい…」
女が上目遣いで聞いてきた。
「…あのねぇ、あのねぇ、わたし、あなた達四人に渡したいものがあって、来たらしいのぅ。…忙しいところ、悪いんだけどぉ……いいかなぁ?」
アンゲリカ「…きたらしいの??変なこと言って〜〜」
ローズマリー「おいしいものなら、嬉しいんだけどな〜、変なせんせ〜」
エーファ「先生のくれたカラカラクッキーおいしかったですよ」
シュテファニー「とても、美味(おい)しゅう菓子でございました」
女「あ、そう?…わたしさ、アレ食べると唇がヒリヒリするんだよねぇ〜。なんでだろう?」
エーファ「使われている香辛料のせいではないでしょうか」
アンゲリカ「先生もなるんだ。アタシもなるよ」
ローズマリー「あたし、なんないけど〜」
「クチビル、鋼鉄なんじゃないの?あんたは〜」
アンゲリカはローズマリーの唇をつまんだ。
「うぶ、ぶぶぶう、ぅぅ〜〜〜!?」
女「…うぶぶぶぶぶ〜〜」
ローズマリー「ぶぅ、る、るるる、ぶぶ〜〜!!」
女「ぶ、うう、るるるぅぅぅ、ぶぶぶ〜〜」
シュテファニー「師…師よ、このような者と係(かかずら)っては、なりません」
ローズマリー「ぶっ、はっ、はぅぅ〜ううう〜〜〜苦しかったぁぁ〜〜」
アンゲリカ「あっはっはははは…イイ、クチビル持ってるじゃない!」
女「うんうんうん、ごめんごめん。話がそれちゃったよぅ」
「い、いえ…滅相もありませぬ」
シュテファニーは頭を下げた。
「…うふふふ。…それでね、あなた達に渡したいものは……これなんだ」
小さな木製の箱を取り出した女は、箱の蓋を開けて内部を四人に見せた。
ローズマリーがぼそっと言った。
「…あ…キレイ…なにコレ?」
エーファ「これは……?」
アンゲリカ「宝石……?」
女「これは、風・火・地・水の四属性の神様の力を封じた結晶なの。……ちょうど四つあるから…あなた達へひとつずつ、と思って」
「…………」
結晶の輝きに目を奪われ、シュテファニーは声が出なかった。
これまで見たことがない輝きがそこにはあった。
教壇の方に目をやった女は言った。
「…椅子が出ているから、四人とも座って。一人ひとりへ渡すことにするよぅ」
「「「「…はい」」」」
四人の返事は揃っていた。
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