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四つの結晶(3)
四人は椅子のところまで戻った。
女はそれに続いた。
やはり、女が歩くたびにいい音がする。
四人は先程まで座っていた椅子へ腰掛けた。
教壇の前まで進んできた女はマントを脱いだ。
「……今こそ、これを見せるとき……」
「!!!!」
四人は言葉を失った。
地味な色のマントを教卓へふんわりと置いた女は、その上に木製の小箱を置いた。
アンゲリカ「せ、先生…す、すごい…きらびやかで…きれい、ですよ……」
先生「…そ〜う?よかった〜。この絵柄を選んで、正解だったよーだねっ」
ローズマリー「せんせ〜が…いつもと雰囲気が違う気がしたのは、このせいだったんだ…」
エーファ「…わたしは、すぐに気付いたよ」
先生「化粧って……久しぶりにしたんだけど…その順番が…忘れててさぁ…髪もどうするといいのか…わからないし…鏡を使っても、片目だといろいろ不便なんだな〜って、いまさら思ったー思ったー」
「…………」
シュテファニーはぽうっとなって、先生を見つめていた。
アンゲリカが質問した。
「それは…外国の衣服、ですか?」
先生「うん。…これはね、東国の品なの。……倉庫から運んできてから、そのまましまい込んでいたので…今回、着てみたの」
ローズマリー「あたしらが先生の部屋で着せてもらったのと、同じもの?」
「少しつくりが違うね。…袖(そで)のここの長さが異なるし、この帯も結び方が別なんだよぅ」
先生は着物の袖をひらひらした後、くるっと後ろを振り向いて美しい帯を四人へ見せた。
ローズマリー「…へぇ〜」
エーファ「きれい…ですよ」
アンゲリカ「ホント…きれい…」
「…………」
シュテファニーはぽ〜っとしたままで、言葉が出て来なかった。
「ありがとう、みんな。…では、これを渡しまーす。…あ、わたし、先生っぽく話すからね。…一度やってみたかったんだよぅ」
にこにこした先生は木製の箱を手に取った。
アンゲリカ「??…どういう意味?」
ローズマリー「せんせ〜は、先生だよ……ねぇ?」
「今にわかるからぁ…。えっと…じゃあ…まず、風から。…シュテファニー、わたしの前へ来て」
先生は箱の内部を見てから、シュテファニーを呼んだ。
「!…あ、ハ、ハイ!」
驚きながら立ち上がったシュテファニーは先生の前へ行った。
「…シュテファニーには、これを」
箱の中から風の結晶を取り出した先生は両手でそれをシュテファニーへ渡した。
「ハッ……」
両手で受け取ったシュテファニーは結晶を見つめた。
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