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女性たちと僕(3)
どろどろに汚れたマントをはおっている剣士は錆だらけの剣を振りおろしてきた。
ザッシュッ!!!という音がして、男の代わりに背面を斬られた女は倒れ込んだ。
ユリウスはローズマリーが身代わりとなったため、強盗剣士の凶刃(きょうじん)から逃れられた。
野山を歩いていたユリウス・シュテファニー・ローズマリー・エーファは、鱗で覆われたモンスターの群れに囲まれた。
四人は協力し、モンスターを倒していった。
すると、戦っている彼らへさらに別の敵が襲いかかってきた。
その敵とは、何人かの人間で構成されている全身から悪臭を放つ野盗だった。
野盗の一人にローズマリーは攻撃魔法を詠唱した。
氷塊でつぶされた賊は青い顔になって、ごろりと転がった。
シュテファニーがまだ残っているモンスター数匹の相手をすることが決まるや、彼女は上から下へと剣を振るって剣技を放った。
仲間を殺された賊は闘争本能に火がつけられたのか、目をぎらつかせて汚れた武器をこちらへ向けてくる。
そんななか、ユリウスは木の根につまずいてしまった。
ここぞとばかりに彼へ迫る賊は剣を振りおろしたが、剣の刃はユリウスではなく走り込んできた一人の女の背中を斬り裂いた。
背中を斜めに斬られたローズマリーは結んでいた後ろの髪を落とされながら、ユリウスの前方の地面へ倒れた。
「ああ!!!ローズさんッ!!!」ユリウスが叫んだ。
彼の声に賊は女と男を交互に見た。
そのとき、ビシュッ!!という音が風を切る音をともなって、鳴った。
ダツッ!!と音がした。
「んッ、んごおぉ、がわぁ、ばば…ンふぅ、ぐぇ、げぇ…」
弓矢に首をやられた賊はあお向けに転がり、足をばたつかせた。
弓矢を引き抜こうと、もがく賊をもう一人の賊が見下ろした。
立っている賊がふり返ったと同時に、弓矢が飛んできた方向から再び弓矢が飛んできた。
「あが、い、いってぇぇーッ!!!」
武器をとり落とした賊は両手で身体をおさえた。
走ってきた女は孥(いしゆみ)を捨てるや、一対の刀を腰から抜き、相手の防具で守られていない箇所を狙った。
左手を斬られた賊は顔も斬られ、少女のような声で泣きさけんだ。
ひざを大地についた賊の背中や脇腹を女は刀で刺し貫いた。
金切り声を出していた賊はぐったりして動かなくなった。
刀を持つ女はあお向けになって、ぜいぜいと息をしている賊の前まで行き、その者を直刀で攻撃した。
賊はびくんと両足を硬直させて、死亡した。
このようにクロイゼンの野外を歩くのは大変危険であった。
野外にはモンスター以外にも、野盗が住みついていた。
これらの者たちは国軍兵士だった者、騎士団から除名された者、傭兵だった者など、盗賊へと姿を変える前の各々の生き様は数え切れないほどに多種多様である。
賊へなった者たちは唯一有している技能を活かし、引きはぎをはたらこうとして通行人を襲撃する。
単独では略奪行為が成功しないこともあるため、徒党を組む者たちは多かった。
ユリウスたちを襲った賊も金品を奪取するのが目的で、モンスターと戦っていた彼らの前に現れた。
当時、この国では相手を殺めることでしか、自らの安全を確保できなかったのである。
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