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美人すぎる第四王子は嫁入り前に処女を捨てたい
リュヌは気高い猫の獣人だが、父親が苦手だった。玉座の後ろに見える尻尾が鞭のようにしなっている。ライオン獣人である父王の尾だ。その大きな身体からは常に、決して逆らうことは許さないという圧が発せられている。
「リュヌ、お前の嫁入り先が決まった。南の大国サンディの王太子だ」
「えっ……でも、父上」
「向こうから是非王太子妃にと申し入れがあった。そんな顔をするな……私とて寂しいのだ。この国で一番美しいお前を他国にやってしまうなんて……しかしこれも役目だ。お前は我が国の利となるよう、しかと夫君に仕えるのだぞ」
「……御意」
玉座の間を出て、ツンとすました顔で自室へと戻る。すれ違う侍女が立ち止まって頭を軽く下げるが、リュヌが通り過ぎると背中にうっとりとした視線を向けてくる。
もう慣れきった反応に意識も向けず、優雅に歩く。部屋の前に立っていた騎士が卒なく扉を開ける。チラッとその男に視線をやりつつも無言で、リュヌは部屋へと入っていった。
ひとりになった部屋の奥、寝室にまで入って綺麗にベッドメイクされた布団を引っぺがしその中にくるまった。ここならミャアミャア騒いでも聞こえまい。すうっと大きく息を吸う。
「ひょろい人間と!結婚なんて……絶対やだ〜〜〜っ!!!」
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