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実践は思っていたよりも大変だが、思っていたよりも興奮を煽った。目の前のペニスが如実に反応を返してくれるし、口淫も、自分で解す行為さえも逐一見られている。
リュヌが一生懸命教えられたことを実践していると、ナージがリュヌの頭にそっと手を置いた。
「触っても、いいか……?」
「ん」
返事の代わりにこくんと頷く。――耳の間に置かれた手はおそるおそる左右に動いた。耳を潰さないようそっと、髪の流れに沿って撫でられる動きは優しい。
この手は好きだ。うっとりと目を閉じ、耳も撫でやすいよう寝かせてしまう。リュヌの反応にナージも要領を得たようで、何度も頭を撫でてくれた。
猫族の耳が珍しいのか、そこだけそろそろと確認するように触れる。皮膚の薄いところは敏感で、ちょっと身構えてしまう。逆に根本の部分は気持ちよくて喉を鳴らしてしまいそうだった。
そのままゴロゴロと甘えてしまいそうになり、リュヌはハッとした。次の段階へ進もう。ついに交尾だ。
リュヌの前腕ほど大きいペニスは準備万端に見える。エラが張ってカッチカチに硬いが、猫科の獣人のようにトゲもないし、痛くはないだろう。……たぶん。
リュヌはドキドキしながらナージに尻を向け、四つ這いで「ど、どうぞ」と告げた。もう入れて出すだけだ。処女を失って、自分は人間の国へと嫁に行く。
ナージはなかなか来なかった。ただ、身を焼くような視線は振り返らずとも感じる。
いつの間にか全身を緊張が包んでいた。ナージがリュヌの白い尻に手を置く。いくら待っても貫かれることはない。
「……リュヌ」
「ナージ、はやくっ」
「リュヌ、こっちを向け」
リュヌが振り返ると、ナージの姿はゆらゆらと揺れた。目に涙の幕が張っているのだ。
ころ、と横に転がされ長い尻尾を両手でぎゅうと抱きしめる。ちゃんと息をしろと言われて、浅くなっていた呼吸を意識して深めた。
緊張と未知への恐怖がナージに伝わってしまったのだろう。邪魔にならないよう立てていた尻尾も、いつの間にか足の間をくぐって胸に抱えていた。これじゃ挿れられなくて当然だ。
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