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「……」 ——恥ずかしがり屋みたいだし、無理があったな。 優が諦めかけたとき、突如何かが解き放たれたように空が話し始めた。 「ヤドカリは、引越しをするんだよ。それで新しい貝殻を選ぶとき、その入口に鋏をあてて自分に合ったサイズか確かめるんだ」 空がいきなり饒舌になったので、優は目を白黒させた。 「それに、最近は浜辺に捨てられたペットボトルのキャップを貝殻の代わりに家にする奴もいるんだよ」 「……そうなの!? それは知らなかった!」  優は思わず大きな声を上げた。たしかまだ小学二年生のはず……。賢いなぁと思った。  空が他に何かある? と聞いてきたので、優は少し考えて何気なく尋ねた。 「そういえば、どうして今日私がここにいるって分かったの?」 すると、空はまた黙ってしまった。 「あっ、えーと、答えたくないなら、無理しなくていいよ!」 優は慌てて言った。するとぽそぽそとした声が返ってきた。 「……お話ししたくて」 「はい?」 「お話ししたくて……。いるか分からなかったけど、声をかけてみたんだ」
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