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「じゃ、半分ずつしよっか」
瞬がそう言うと、速川はパッと花が咲いたように表情を明るくさせて、嬉しそうに言った。
「ありがと! 瞬…」
「ふふっ、じゃいただきまーす」
瞬はカップを持ちコーヒーをひとくち飲む。
「私も、いただきまーす!」
速川はフォークを持ってケーキに突き立て、ひとくち分をすくい取り口に運んだ。
「んんっ……おいしいぃ……」
幸せそうな笑みを浮かべて喜ぶ速川。
「ふふっ、喜んでもらえてよかった」
「ほんと、ありがとね」
「俺こそ。帰ってきたばかりで疲れてただろ? ゆっくりしていいんだぞ」
「ううん。大丈夫だよ。私が瞬に会いたかったんだもん」
そう素直に面と向かって言われると、瞬の抑えていた気持ちは溢れ出し、速川に両手を伸ばし腕を掴んで、自分の胸に引き寄せぎゅっと速川を抱き締めた。
お互いの肩の上に顔を出し、ぴったり密着する2人。
「俺もさくらに会いたかった。早くこうして抱き締めたかったんだ」
速川の耳元で囁くように言い、顔を引いて見つめ合う。
「好きだよ。さくら」
速川の唇に唇を重ね、少し開いた唇の隙間から舌を挿し込む。速川の舌に触れ少し絡めると、さっき食べたケーキの甘さが残っていた。
「あまっ……んっ……んんっ…」
「んっ…ごめっ…」
ゆっくり速川が息を継げるように舌を絡め、速川の体を引き寄せて両足をソファーの上へ乗せ、瞬の膝の上へ横向きに座らせた。瞬の膝に速川の体重が乗り、速川が落ちないようにしっかりと支えながらキスをする。
「さくら、もう少し舌出して…」
速川は言われた通りに舌を出し、その舌に瞬は舌を絡める。速川とのキスを堪能し唇を離して見つめ合う。速川が目を潤ませ瞬を見下ろす。瞬は愛おしく速川を見上げ訊いてみた。
「さくらは、どうしたい?」
瞬とのキスで頬を赤く染め目を潤ませて、少しその先を期待するような表情をしているように見える速川。瞬はそんな速川に、キスのあとどうしたいのかと尋ね選ばせたのだ。
速川がキスの先を未経験だという事は、速川自身から話を聞き知っている。そして、この数日で先天性心疾患について勉強し、セックスが心臓へ負担をかける場合があることも知った。そのことを速川が知っているのかは分からないが、速川が望む事を叶えるつもりでいた。
「私は…」
速川も瞬が訊いた言葉の意味を理解し、迷っているように見えた。
「無理しなくていいよ…」
そう瞬が優しく言うと、速川は「もう少し待って…」と答えた。
「いいよ。俺はさくらと一緒にいれたらそれでいい。キスして抱き合ってこうしてるだけで幸せだから…」
速川を抱き寄せてぎゅっと抱き締める。速川の手が瞬の腰に回り、抱き締め返して言う。
「ありがと……瞬。大好き…」
「ふふっ、それはヤベェな……体が反応する…」
「へ…」
「そろそろ離れねぇと……け、ケーキ食べよっか」
「う、うんっ」
2人は離れて、速川はラグマットに座りケーキを食べ始めた。
瞬も股の間で少し反応していた牡を静め、ケーキを食べ始める。半分ずつ交換し2種類のケーキとコーヒーでひと息つくと、瞬は見つけて来た病院の話をし始めた。
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