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第2話 デブの教え。
ジュースを奢ってもらえるのは嬉しい反面、初対面で断らないと図々しいと思われるかもしれない。
だから最初は断ったのだけど、気がついたら手にジュースの缶を持っていた。
これだけで、別デブの優秀さが分かる。
もう僕との格の違いを見せつけられた。
「ありがとうございます」
僕は諦めて礼を述べる。
「それで? あんな行動ってどれのこと?」
彼に促され、僕は言葉をつっかえながらも自分の思っていることを説明することにした。
・あなたが道を渡れなくて困っているお婆さんを助けた一部始終を自分が見ていたこと。
・あなたが助ける前から、ずっとお婆さんを助けようかどうしようか迷っていたこと。
・でも、太っていることに重度のコンプレックスを抱えている自分には、お婆さんを助ける資格がないかもしれない、と躊躇してしまったこと。
・それなのに、あなたはあっさりとお婆さんを助けてしまったので驚いたこと。
こんなことを一気に質問していた。
「それで、僕がいちばん聞きたいのは、どうして僕と同じデブなのに、あなたはそんなに自信がありそうなのか? ということです! ――――!?」
最後の質問までしてしまってから、かなりの量の質問を結構な勢いでしていたことに気づいてしまった。
だが、反省してももう遅い。
これじゃ「ヘンなヤツ」と思われたかもしれない。
このあと、彼から突き放されてしまうだろうか?
彼は、何かをじっくりと考えていたようだった。
そして話し始めた。
「僕も見ていたよ、お店の中から。君がお婆さんを助けようかどうしようかと葛藤してるところをね」
そうか見られていたんだ。
「君が行動に出られない理由もなんとなく想像していた通りだったよ。だいたい合っていた」
分かられていた。
「色々、言いたいことはある。君の現状には同情するし理解もしている。だけど、君に伝えるべきはたった1つのコトみたいだ」
「たった1つのコト……?」
別デブがゆっくりと力強くうなづいた。
そして、こう言った。
「デブ&テイク。この哲学に僕は従ってるだけさ」
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