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「ちょっと……、コンビニ、行ってくる」
西澤がわざとらしく目を逸らして言った。まるでそこにもうひとり、誰かいるみたいに。
「あ……、うん、気をつけて」
啓子の返事までには不自然な間があった。
年が明けて、1月もあと一日で終わる30日。時刻は夜の9時ちょうど。
この奇妙な儀式めいたものも明日まで。
西澤が玄関で靴を履く気配と、扉が開き、再び閉まる音を聞きながら、啓子は胸にひとりごつ。
西澤はコンビニへは行かないし、啓子はそれを知っている。そして啓子は知っていると、西澤も思っていることだろう。
この茶番も明日、1月31日で終わる。
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