APP:04

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 ただ、ひとつ懸念材料がある。このまま張り込みを続けると夕食作りに間に合わない。今までは断念していたが、このチャンスは逃したくない。  美晴は早速幹夫にメッセージを送った。今日は仕事で帰りが遅くなるから実家で夕飯を食べて欲しい、と。  するとすぐに文句の返信が大量に届いた。 『僕よりも仕事を優先するなんて――』から始まった文章。おしゃぶり男の優先順位なんか一番下でしょ、と美晴は冷めた目でメッセージを見た。  全部証拠。全部保存。自ら貴重な情報証拠をありがとうございます――  美晴はそのまま雑踏に紛れながら一時間半ほど待った。やがてホテルから再び女子高生が一人で現れ、さっと走って人ごみに紛れて消えていった。少しのインターバルを置いてから久次郎がのそっと出てきた。別々に出てきたが動画として撮影には成功した。撮影した時間などは動画データに入っているだろうから、貴重な情報になることには変わりない。  撮影を終えてすぐにアプリにデータを送った。これ以上の追跡は身バレを起こしてもいけないので帰路についた。文句を送り付けていた幹雄は実家へ夕飯を食べに帰ったらしく、自宅にはいなかったから好都合だ。  自分の分の証拠もクラウドにアップし、アプリをチェックすると先ほどの動画のお礼として200Pのバックを受けていた。今までの分を合わせると合計370Pにまで達していた。500Pまであと130P。もう少しだ。  今後も久次郎について調べるのだから、彼のことをアプリに聞いてもいいだろうと思い、美晴は尋ねてみた。 ――この証拠をどうするのですか?  
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