APP:04

6/16
前へ
/143ページ
次へ
  「うそ……」  スマートフォンの画面に映し出された愛人のプロフィールを見て、美晴は呆然とした。そこに映っていたのは、親友の『上原こずえ』だったから。 (こずえが……そんな……そんな、うそよっ!!)  彼女からは定期的に連絡をもらっていた。電話もしていた。毎回親身に美晴の話を聞いてくれて、早く離婚した方がいいよと勧めてくれた親友が夫の浮気相手……。 ――この情報、間違っていませんか? 彼女は私の親友です。  大急ぎでチャットに文章を打ち込み、アプリに尋ねた。 『残念ながら正しい情報です』  しかしアプリからは無情な答えが返ってきた。画面に映る文字を見て、美晴は絶望した。  こずえが幹雄と関係を持っているなんて信じられない。もし本当だとしたら、なぜ彼女は自分に対して普通に接することができたのだろうか、と心の中で何度も繰り返した。 『こちらをご覧ください』  スマートフォンの画面には、幹雄とこずえの親密な関係を物語る一連の証拠が提示されていた。腕を組んで幸せそうにしている写真、ホテルに入っていく写真が複数あった。 「あっ…!」  腕を組んでいる写真を見て、美晴は思わず声を上げた。美晴を訪ねてホワイトシェルまで来てくれた時と同じ格好、同じ髪型だったから、すぐにあの日のこずえの姿だとわかった。 (あの日、お洒落をして彼氏とデートに行くと言っていたのは……)  
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1682人が本棚に入れています
本棚に追加