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「うそ……」
スマートフォンの画面に映し出された愛人のプロフィールを見て、美晴は呆然とした。そこに映っていたのは、親友の『上原こずえ』だったから。
(こずえが……そんな……そんな、うそよっ!!)
彼女からは定期的に連絡をもらっていた。電話もしていた。毎回親身に美晴の話を聞いてくれて、早く離婚した方がいいよと勧めてくれた親友が夫の浮気相手……。
――この情報、間違っていませんか? 彼女は私の親友です。
大急ぎでチャットに文章を打ち込み、アプリに尋ねた。
『残念ながら正しい情報です』
しかしアプリからは無情な答えが返ってきた。画面に映る文字を見て、美晴は絶望した。
こずえが幹雄と関係を持っているなんて信じられない。もし本当だとしたら、なぜ彼女は自分に対して普通に接することができたのだろうか、と心の中で何度も繰り返した。
『こちらをご覧ください』
スマートフォンの画面には、幹雄とこずえの親密な関係を物語る一連の証拠が提示されていた。腕を組んで幸せそうにしている写真、ホテルに入っていく写真が複数あった。
「あっ…!」
腕を組んでいる写真を見て、美晴は思わず声を上げた。美晴を訪ねてホワイトシェルまで来てくれた時と同じ格好、同じ髪型だったから、すぐにあの日のこずえの姿だとわかった。
(あの日、お洒落をして彼氏とデートに行くと言っていたのは……)
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