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幹雄と会うためだったのだと思うと涙があふれた。裏切られた悲しみと、信じたくない現実を知ったショックが美晴の心を襲った。
再びアプリのチャット欄へ入力を始めた。
――この証拠は、どこで手に入れたのですか?
『情報提供者の情報は公開できません。ただし、この情報は確実です』
無機質なAIの答えに美晴は唇を噛んだ。悔しい、と涙を流しながら美晴は拳を握った。
辛い
苦しい
許せない
どうして…
様々な感情が脳内を駆け巡り、美晴の頬を濡らした。
幹雄に裏切られたことも辛いが、それよりももっと、こずえに裏切られた方が辛く悲しかった。彼女は美晴の支えだったから。
『信じられないのも無理はありません。美晴さんのご友人である上原こずえさんは、大変したたかな女性です。あなた以外にも被害を訴えてきた方がいらっしゃいます。爽やかで優しい雰囲気に騙されてしまうのでしょうね』
こずえがしたたかな女性?
美晴はずっと傍にいながら、彼女は良い人間だと思っていた。
人を裏切ったり、ひどい目に遭わせたりするような性格ではないと思っていた。しかし、その認識が違っていたら話は別。
なぜこずえが自分を裏切ったのかはわからない。
ただ、このままでは救われない。
救われないが、美晴の脳内では、こずえとの思い出が蘇る。
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