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義理両親からは冷遇され、幹雄には裏切られ、唯一の支えだと思っていた親友にさえも裏切られる自分は、生きる価値もない底辺の人間なのか?
一生、飼い殺しにされたまま、奴隷のように生きるしかないのか?
否。そんなことはない。誰にでも生きる権利はあり、その人の人生や尊厳を奪ったり傷つけたりしてはいけないはずだ。復讐アプリを通じて得た情報は確かなものなのか、また、こずえが本当に裏切り者なのか、確かめなければ。
――こずえが夫の愛人だと、確かめたいです。
アプリにメッセージを打ち込んだ。AIアプリはどのような回答を送ってくるのだろうか。
『かしこまりました。お手伝いいたします』
――でも、知るのが怖いです。こずえは私の親友だから。
文字を打つ指が震え、涙が零れた。こずえの心の底を知るのが怖いと、正直に打ち明けた。
『美晴さん。あなた今まで大変苦しい思いをされました。流産以上の絶望はないはずです。一生クズの正体に気が付かずに付き合いをすることにならずにすんだと、そうお考えください。あなたはまだ若い。もっとあなたを理解して、大切にしてくれる人が現れます。その時が訪れるのを待ちましょう』
AIのアプリが自分を必死に慰めてくれている。惨めで滑稽だが、それでも救われた。
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