APP:01

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 翌日。朝食を摂っている時に夫へ正直に子供の話を打ち明けた。そのせいで腹部にかかる鈍痛がさらに大きくなった。 「はあ? まただめ?」  美晴の予想どおり幹夫は不機嫌になった。 「美晴は本当にブライダルチェック大丈夫だったの? 健康だったって、嘘を言ってたんじゃないだろうね?」  幹雄の嫌味が始まった。辛いが聞き流さず、はいはいと言うだけでなく、今日はぐっと堪えた。もっと夫と向き合って話がしたいと思っていたからだ。 「ブライダルチェックは……私、お義母さんが勧めてくれた病院で検査を受けました」 「だったら子供ができないのはおかしいだろ!」  バン、と大きく机を叩き、幹雄が怒った。「それとも美晴が僕を騙していたのか?」 「違いますっ。あの…っ!」  前々から言おうと思っていたが、怖くて言えなかった。しかし自分一人に責任があると言われ続けるのは限界だった美晴は、遂に幹雄にその言葉をぶつけた。「今度、幹雄さんも一緒に検査してください。あなたの子が欲しいから…。私、頑張って産みます――」 「なんだ美晴。僕に原因があるって言いたいのか?」  必死に喋っている台詞をドスの利いた声で遮られた。びくりと身体がすくんでしまう。血の気が引いて唇が冷たくなった。幹雄から見る美晴は、さぞ青白い顔をしていることだろう。
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