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「誤解です! そんなこと言っていません!」
「おだまりッ。あんたみたいな孤児を引き取ってやったのに、そんな暴言を吐かれるなんて心外よぉッ!!」
だから結婚は反対だったのよ、と怒りに任せて酷い言葉の暴力を美晴に対して浴びせてくる。「そんなつもりはない」と何度も説明するが、和子には届かない。
「次、幹雄ちゃんにそんなことを言ったら、ただじゃおかないよッ!!」
義母は言いたいことだけ言って去っていった。今日は一時間で済んだのでまだいい方だったが、心労で動悸が激しくなり、午前中は使い物にならなかった。
それでも夫のために買い物に行き、食事を作ってじっと息を潜めて待たなければならない。夜まで夫のための食事作りに精を出し、風呂を沸かし、帰宅を待つだけの毎日。ここに子供がいてくれたら、もっと幸せになれるのに、と美晴は信じていた。
だから、罵られるのも自分のせいだと思っていた。子供ができないのは、自分自身に問題があるのだ、と――
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