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汽車は、トンネルに入った。
トンネルを抜けると、窓の外の光が眩しくて目を瞑った。
目を閉じていても、暖かな光が、瞼の裏の赤色を見せた、ゆっくりと目を開けると、そこに美生がいた。
「……さん、滝元さん、わかりますか?」
美生だと思ったその人は、よく見ると、違う人だった
「滝元さん、痛いところはありませんか?」
理仁は、ぼんやりとその人を見た。
その人は、何かあわただしく理仁へ話しかけいたが、理仁はただぼんやりとその人をみていた。
彼女自身が、光を放っているようで、とても眩しかった。
彼女は、何か言うと部屋を出ていった。
理仁は急に寂しくなって、彼女の出ていったドアをぼんやりとながめていた。
ふと、上をみあげると、モビールがくるくると回っていた。
ベットの周りに、犬のぬいぐるみやゲーム機、本など様々なものが置かれていて、まるで贅沢なおもちゃ箱のようだ。
彼女がすぐに、あのドアを開けて、戻ってきてくれないかなぁと期待して、ドアを見ていた。
まもなく彼女は、白髪交じりの小柄な、白衣を羽織った、初老の男性を連れてきた。
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