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彼はきっと医者なのだろう。
何やらたくさんのことを、理仁に質問してくるので、首を縦や横に振ってこたえた。
何かわからないまま、検査をするといわれ、最後に
「声は出ますか?」と聞かれ、初めて、話していないことに気が付いた。
慌てて声を出そうとしたが、喉が渇いて砂をかんでいるようで、舌が重くてうまく回らない、かすれたような音が出ただけだった。
検査の他に、リハビリなるものが始まるらしい。
医者は入ってきた時と同じように、急ぎ足で部屋を出ていった。
起き上がろうとしてみたが、うまく力が入らず、ただ、もぞもぞと手足が動いただけだった
「無理してはだめですよ、ずいぶん長い間、
眠ってらっしゃいましたので…… 」
どのくらい眠っていたのか聞きたかったけど、声がうまく出なかったので、別の機会に聞いてみようと思った。
「ご家族の方に、連絡してきます」
そういって、彼女はまた出ていってしまった。
もう、しばらくは戻ってきてくれないだろうと思うと、うとうととまた眠たくなった。
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