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物件拝見からの
そうこうするうちにトントン拍子に話は進み、
本郷親子は、本日、物件を見に来ていた。
「す、すごい凄すぎるーこんな豪邸が
こんな近くにあったなんて」と、目の前に建つ、
屋敷のそのスケールに圧倒されていた。
「ね?素晴らしいでしょう?
ってよぉ〜く見て下さいよ表札を」と、話を
持ちかけてきた例の不動産仲介業のF氏だ。
「紗倉?さ、さくら?」と櫻子は、その立派な表札を
二度見した。
「まさか、ここが噂の紗倉邸ってか」と、父も唸った。
「ね?スゴいでしょう?どうぞ充分、目の保養に
なさってからの、本日ご案内するのはこちらです」
豪奢を極めた老舗旅館のような風情が漂う、長い
塀伝いにナンバ歩き(古武術の一つ)をしながら、
不動産屋F氏の後に従う。
「もう季節は終わってしまいましたが、
広大な庭園には見事な桜並木の通り抜けゾーンが
あるらしいですよ」
右足と右手を同時進行で、塀を伝って歩くこと、
おそらく5分は経っただろう。
すると、そこには、紗倉邸を見ちゃった後では
庶民的にはなるが、夢の新築一戸建てが、
忽然と姿を現したのだ。
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