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「引っ越しても世の中は甘くないってことわかるだろう。こんな事態になってじいさんは複雑な表情をしていたよ」
「農家を継ぐってこと？」
天井の木目がムンクのそれに見えてよく父さんやじいさんに泣きついていた。
「人の噂はもう消えない。修也、これからを一緒に考えような？」
ウザかった父が頼もしく、祖父母の無条件の優しさが染みた夜。
＊
翌朝
「若夫婦が帰ってきた？なにしたね？」
遠慮なしにぐいぐい聞いてくるばあさんたち。
「知らん方がいいこともあるて」
ばあさんが軽く流した。そして話題を変えた。
カーテンを細く開ける。住宅街が密集している地区。
「頑張ってみるか」
優しさに甘えてばかりはいられない。本当のことを知っても優しくしてくれる人はどれくらいいるだろうか？
「孫も帰ってきた？騒がしくなるねぇ～」
いずれは訪れる同居が早まった。新天地では燃えることがないよう、発言も行動も気をつけよう。
おわり
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