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 威力業務妨害罪、罰金刑。  夜の東京の街並みを見ながら、僕は父と夜行バスへと向かっている。母と妹の茜は翌日の新幹線で新潟に来ることになっている。 「・・・・」 「・・・・」  ハッシュタグ付きで壊してやるとストーリーに投稿した。真っ暗な画面に赤い文字だけだったはずが、元カノの動画を共有したせいで、拡散され火の粉が飛んでいった。  燃えてしまったマンションの部屋は酷いものだった。妹の茜は四月末で高校を中退。父は離職をした。 * 『俺の育て方が悪かったのか』  両膝をついて刑事に頭を下げた父が放った言葉は今も胸に広がっていて消えない。 『最悪!!わたしの青春返してよ』  涙声で怒り狂う妹の茜。母は張り紙を見てはビリビリと破き、ケラケラと笑っていた。  僕が壊した家族をこの目でまじまじと見たとき、ゾクリと鳥肌が立ち同時に後悔ばかりが募った。
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