埴輪マン 古代からのメッセンジャー

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事件から数日が経った。 しかし、松井博士が亡くなった事件は、発掘中の事故としてニュースになった。 松井博士は発掘調査中に心臓発作で亡くなった事になっていた。 一緒にいた調査員達は、誰も化け物の事を話していない。 僕は事件の事や松井博士が亡くなった事に頭が混乱したままだ。 「…何で事件になってないんだ?」 『悪しき魂に関する事は全てなかった事にされる』 僕の指には古めかしい指環がはまっている。 あの埴輪の鎧は古墳を離れるとこの指環に変わった。 「…訳分かんないよ 何だってそんなことに…?」 『悪しき魂は遥か太古の昔から存在する破壊と殺戮を楽しむ者だ 時の権力者たちは、我々の事も悪しき魂の事も常に隠してきた』 時の権力者?現在なら政府って事か? 「…僕は…考古学を学んでいるけどそんな話、聞いた事がない…」 『その方が民を統治するのに都合が良いのだろう…』 確かに歴史上、時の権力者は都合が悪いものを記録から抹消する事は珍しくない。 それにこんな話しをしても誰も信じないだろう。 「はあ…、これからどうなるんだ?」 『悪しき魂が解き放たれた以上、似たような事が起きる お前は悪しき魂を滅せなければならない』 まるでテレビの特撮ヒーローじゃないか…。 「だいたい何で僕なんだよ? もっと強い奴の方がいいだろ?」 『お前は私の声に応えた… それに悪しき魂を見る事が出来る』 僕にそんな正義のヒーローみたいな事が出来るのか? 「…少し考えさせてくれないか?」 『あまり時間はないと思うぞ…』 それはまた事件が起こるという事なんだろう。
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