雪side

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雪side

「雪~」 「…ん、ん~?」 なんだよ…… まだ眠いんだよ…… 「ゆ~き~。今日、受けたい講義、あるんだろ?」 「………ある……う~~~……眠い」 ゆっくりと起き上がる 「夏、おはよ」 「雪……バイト…もう少し減らせないのか?」 夏から、何度この台詞を聞いただろう…… 「減~ら~せ~な~い!うしっ!起きるか」 身支度を済ませると、 「雪、ちゃんと朝ごはん食べろ」 「朝、食欲ないんだけどな…」 「残してもいいから、少しでも食え」 残してもいいからと言われても…… 俺の分の、パン、ベーコンエッグ、ホットミルクが置かれており…… 食べない訳に、いかないだろ…… 夏は、運のない奴だと思う たまたま志望校が同じで、仲良くしてしまったばかりに、俺に関わる事になり、俺の世話までする羽目になっている 「お前って……運悪いよなぁ」 「はっ?何いきなり?1日の始めに、そんな事言わないでくれる?」 「夏は同居人であって、家政婦じゃないんだから、俺の世話なんか、しなくたっていいんだからな?」 「……んな事は分かってる。けど、俺が気になるんだから、しょうがないだろ」 「……気の毒な性分だな」 「ほっとけ!」 朝の駅は、凄い人だ もう少し遅いと、もっと少ないんだけどな 「やっぱ、朝早いと、凄い人だな」 「雪、ふらふらして、すぐ倒れそうだからな。離れんなよ?」 「俺は、お前の彼女か」 電車に乗り込むと… 混んでて、逆に倒れるスペースがない と、なると…… この揺れ……眠気を誘うな…… ん? ウトウトしてると、時々後ろの人のカバンが、ケツに当たる 痛い程じゃないし、いっか…… まだ、寝れるな…… ん? あらら… これは、明らかに膝でケツ擦ってるわ チラリと後ろを見ると、 へぇ~? まだ20代のサラリーマン けっこうイケメンじゃん あ! 目が合ったら、赤くなった おお…… 目が合った後、しばらくじっとしてたのに、揺れと共に、どんどん自分の体ごと押し付けてきた…… うん 当たってるね まあ、生理現象だしね~ 「……っ」 時々、微かに、声を堪えてる様な、吐息が聞こえてくる 勇気あるよな~ こんな若さで、人生棒に振るかもしれないのに…… ってか、俺がいつ降りるかも知らないのに、その後どうすんだろ? 駅に着き降りる 夏と改札口へ向かってると、 あ、さっきの人 どうやら同じ駅だったらしい 俺の視線に気付くと、また少し顔を赤くしながら、ペコリと会釈した 「ふっ……可愛い」 「あ?何が?タイプの女でも居たか?」 「ううん。サラリーマン」 「はっ?」 通勤電車で、人生を賭けた痴漢行為をして、そいつに赤面で会釈してくサラリーマンは、今日どんな仕事をするのか? 「面白いよなぁ」 「何が?さっきのサラリーマンの話?」 改札口を出て歩くと、夏が聞いてくる 「そ。あの人は、夏とは違って今、運がいい」 「何で、そんな事分かるんだ?」 「痴漢行為をしても、今日も普通に仕事をして、予定通りの生活が遅れる」 「はっ?!ち…」 夏が、言いかけて、周りを見渡してから、小声で話し出す 「痴漢って、どういう事だよ?お前、それ、黙って見てたのか?何で止めなかったんだよ?!」 「黙って見てたって言うか……痴漢されたのは俺だから」 「………はっ?」 「俺のケツで、朝から気持ち良くなってた。凄いよね?これから仕事なのに、人生賭けて、そんな事するんだから」 「……え?いや……はっ?お前……痴漢…されたの?」 「?そうだって言ってんじゃん」
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