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ぐいっと、雪に腕を引っ張っられて、抱き寄せられる
「ふっ……また泣かせちゃった。でも、泣きじゃくってたのは、止まったね?」
「……何っ……すんだよ!」
「だって、泣きじゃくってる夏、可愛いのに…可愛いくない事言うからさ」
「……お前……唇怪我してるだろが!!何でこんな事すんだよ?!何怒ってんのか知らないけど、他にも方法あるだろが?!」
「……え~?そこ~?」
腹が立つ
全然泣かない
いっつもふざけて
でも……
そうするしか、生きられないのかと思うと
許してしまう……
こんなに近くで、誰よりも長い時間、一緒に居るのに
何もしてあげられないから
「ごめん……」
突然、俺を抱き締めたまま、雪が謝り出す
「ごめんな……」
何に対しての、ごめんなのか……
「夏……ごめん……」
そんなに謝ったってどうせ……
「ごめん……夏」
死ぬ事ばっか考えてる事に対してじゃないんだ……
けど……
泣けない雪が、泣いてる様に見えるから……
「なあ……雪。俺……叔父さんから頼まれたから、しょうがなく雪と一緒に居る訳じゃないよ?」
お前は……何が欲しいんだ
「母さんや、先生を安心させる為でもないよ?」
「……何だよ、突然?」
雪が、体を離そうとするので、ぎゅっと抱き締めた
「何っ…」
「ちゃんと聞いて」
「いいよ!分かったから、離せよ!」
雪は、真剣にこういう話、絶対しないんだ
「駄目だ。ちゃんと聞け」
「離せってば!またキスするぞ!」
そうすれば、すぐに俺が折れると思ってる
「何してもいいから、ちゃんと聞け」
「なっ……何してもいいって、馬鹿じゃないの?」
「俺は、雪の母さんが生きてたとしても、雪と隣同士か、すぐ近くに住みたいと思ってた。雪と一緒に暮らすのは、普通に嬉しいんだ」
仕方なくじゃない
俺は、一緒に居たくて、お前と居るんだ
「母さんが生きてたとしても?違うだろ。生きてたらだ。母さんが生きてたら……俺は夏の友達でも良かったし……」
……は?
バッ
雪から体を離す
今、何つった?
「友達でも良かったって、何だよ?友達だろが?」
「………そうだね……そうだった。はあ~…なんか疲れた~。寝よ~っと」
何?
どういう事?
雪が、食器を下げて、さっさと部屋に向かう
「おい、雪!まだ話の途中だぞ!」
「もう、無理~」
は?
母さんが生きてたら、夏の友達でも良かった?
生きてないから、夏の友達だと良くない?
何で?
「謎の言葉残しやがって……」
俺が友達だと困る?迷惑?
あっ……
母親が亡くなる前の雪を知ってるから?
昔を知ってる奴に、母親を知ってる奴に、いつまでも構われたくない……とか?
なのに俺、すげぇ心配して、あれこれ煩く言って、色々してあげて……
「もしも、俺の事気にして、彼女とあんまり遊ばないとか、彼女作らないとかなら、やめてよね?あと、夏は俺の家政婦さんじゃないんだから、俺の分まで、色々する必要ないんだよ?」
あっ……
あれって……そういう意味……
俺に干渉するなって……
言いたかったんだ
でも、俺に迷惑かけてると思ってるから、ハッキリ言えなくて
なのに俺、勝手に感情的になって……
いい迷惑だよな……
気付かない俺に我慢の限界で、あんな事したんだ……
「何だよ……そういうの……言ってくれよ……」
俺1人で色々考えて……
「……ほんと…馬鹿みたいじゃんか……」
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