雪side

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自分が気持ち悪い 自分の顔が嫌だ ガンッ ガンガンッ 顔……壊れればいい ゴンッ ゴンッ ガンッ この気持ち悪い顔……壊したい 「雪君!」 後ろから旭陽さんに、抱き締められた 「何…やってるの?顔……色んなとこに、打ち付けたの?大丈夫?血…出てるよ?」 「う~~っ……旭陽さんっ……この顔…気持ち悪い……壊したいっ……壊したいよ~」 振り返ると、旭陽さんが前から抱き締めてくれた 「大丈夫。大丈夫だよ。ごめんね?びっくりしたよね?あの人達が言った事は、何も気にしなくていいんだよ?雪君の顔は、気持ち悪くなんてないから、大丈夫。目なんか、姉さんそっくりで…姉さん、凄く喜んでたんだから」 「……っく……ふっ……うぅっ……ひっく……」 旭陽さんが……一生懸命慰めてくれてる 「それに……一緒になる事は出来なかったけど……姉さんが、雪君のお父さんの事、悪く言った事ないよ。あの姉さんが惚れる男なんて、悪い男な訳ないだろ?姉さんは、惚れた男に似た雪君の顔、大好きだったんだよ?」 なんか… 俺にとって、心地好さそうな言葉を紡いでくれてるんだろうけど…… ごめんなさい 全然入ってこない 俺は……俺が気持ち悪い 「………ん…あれ…?」 寝てた 久しぶりに、じいちゃんとばあちゃんの顔見た 夢の中だけど ばあちゃんの…軽蔑した目 じいちゃんに関しては、眼中にないって感じだったな ある意味、今の腫れてる顔の方が、気持ち悪くないかも 暗くなっちゃった 起き上がって、ベランダから外を見る よく……こうして、外見てたな 全然……母さんが帰って来る訳ない時間に もしかして、何かが起こって、帰って来たりなんて 絶対あり得ないんだけどって思いながら見てたな 電気を点けるのが嫌で… かなり暗くなるまで点けなかった 電気を点ける時間になっても1人って 確認させられるみたいで 電気を点けるまで… ベランダに立ってた 「……帰るか」 母さんに挨拶をして、郵便物を持ってアパートを出る カン カン カン カン 合格発表の3日前 母さんは、この音を鳴らしながら階段を下りてった 上がってくる音を待ってた俺に届いたのは 病院からの電話だった 電車に乗りながら、バイト情報を検索する 1週間って長過ぎだろ 顔ヤバくても、出来るバイトないかな ああ…でも、面接でアウトか 今行ってるバイトの人達に、裏で働けないか聞いてみようかな 電車から降りてマンションへと向かう 郵便物、旭陽さんに確認しないとな マンションへ着き、エレベーターを待ってると、後ろから誰か来た ヤバ 下向いておこう 「あの……」 え……何で話し掛けてくんの? サラリーマン? 「はい?」 顔を上げずに、軽く振り向く 「バッグ……開いてますよ」 「えっ?!」 ヤバッ いつから? 何か落としてないよね? 「大丈夫ですか?」 「ふぅ……大丈夫そうです。ありがとうございました」 思わず、顔を上げてお礼を言うと、驚いた顔をしている うわ……マスクで隠しきれてないか? 慌てて下を向く チーン 丁度いいタイミングでエレベーターが来た 8階を押す 「あの…何階ですか?」 「あ…俺も8階です」 え? 「あ…そうだったんですね」 同じ階の人?! 「なかなか、人と会いませんもんね?」 「そうですね」 ヤバいヤバい 同じ階に、ヤバい奴居るって思われたかも チーン 「あの…どうぞ」 「ありがとうございます」 何……この空気…… 「じゃ…」 そう言って、別れようとした時 「あの!!」 びっくりした~ 何?! 「はい?」 「イチゴは好きですか?!」 イチゴ? 「……す…好きです…が?」 夏がだけど……
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