雪side

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「馬鹿じゃないの?!お前!」 「ちょっと、夏。声、デカイから」 周囲の人が、驚いてこっちを見ている 再び小声に戻した夏が、聞いてくる 「なんっで、黙ってやらせてんだよ!自分で言えないなら、声掛けれる場所に、俺居ただろ?!」 「ぶっ……あっはっはっはっ…夏…何マジんなってんの?俺、男ですけど?それに、服の上からだっての。くっくっくっ……」 俺が、腹抱えて笑ってると、 「……ちょっと来い!」 腕を掴まれて、引っ張られて 「なっ……夏、ちょっと……何処行くんだよ?!」 ぐいぐい引っ張られて、狭い路地へと、連れてかれる 「何?怖っ。夏、俺に何する気?」 ふざけて言うが、夏は、黙ったままで…… 「話ないなら、腕、離してくんない?俺、講義あるから、早起きしたのに、意味なくなるじゃん」 「………んで」 「は?何?」 「何で雪は、自分の事を大切にしようと思わないんだ?!いっつも、どうでもいいみたいな……」 突然、夏が、キレた様に怒鳴りだした 「何だよ?急に……」 「急にじゃない!ずっと思ってた。でも……雪の心境なんて、俺には分かんないから、あまり口出さない方がいいかと思って、黙ってた」 「………じゃあ…こらからも、その方向で。夏の迷惑になる様な事は、言ってくれていいからさ。俺の事は、ほっといてくれ」 夏の腕を払って、歩き出そうとすると 「……少なくとも…俺にとって雪は大切なんだ……大切なものが……傷つくのなんて……嫌に決まってるだろ?」 「………大丈夫。たまたま、高3の時仲良くなったけど、これから大学の友達できて、職場の友達できて……大切なものは、沢山できるから。俺の事、気にしてる場合じゃなくなるよ。そもそも、あんな事くらいで傷ついたりしないし」 「………雪は……雪の大切なものは?」 「………さあ?何だったかな……」 そうして歩き出した俺を、夏はもう、止めはしなかった 「天海(あまみ)~。天海 雪~」 「起きねぇな。あ・ま・みく~ん?」 「今日、もう1つ講義受けるんだろ?」 「あ、私起こしたげる。天海君、目覚めのキッスだよ~。ちゅっ」 「「「あ~~~~~っ!!!」」」 ん?何だ? 「ん何?うるせぇ……ん?水谷(みずたに)?」 「おはよー、天海君。いつも、よく寝てるね?」 「ああ……ん?時間か。お前ら、ありがとな。じゃ、俺行くわ」 席を立って歩き出そうとすると、 「ちょ~っと待った~!」 グイッと五十嵐(いがらし)に引っ張られた 「何?!」 「天海、合コン行こ!」 出た 「行かないって、何百回言ったら分かるんだよ?俺は、忙しいんだ」 「そこを何とか!1回!1回でいいから!」 「そうそう!1回来てくれたら、俺達も、もう言わない!」 中田と、一之瀬まで拝んでくる 「お前ら、さっきまでの疲れ切った、俺の姿を見てただろ!そんなとこ行く時間あったら、帰って寝るわ。じゃな」 再び歩き出すと、グイッ 「うわぁっ!」 今度は3人に引っ張られる 「しつこい!」 「だから1回行こ!」 話が元に戻ってる…… 「今日は?講義終わって、その後は?」 「バイトだ」 「何時まで?」 「23:00」 「明日は?」 「バイト」 「何時まで?」 これ……いつまで続くんだ? 「21:00までだけ…」 「21:00?!行けるじゃん!」 「いや、21:00までだけど、次の日…」 「なんだ!俺達で一次会あっためとくからさ!」 「いや、だから、次の日もバイト…」 「じゃあ、早速合コン相手探さなきゃ!水谷、誰かいねぇか?!」 「う~ん……いる♪︎」 「おっしゃ!頼んだ!」 誰も俺の話……聞いてない…… 「じゃ、場所決まったら連絡するから!」 「講義寝んなよ?」 「明日な!」 「天海君、バイバイ」 「……バイバイ…」
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