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こんなの……
酔った状態の雪が、抵抗出来る訳がない
しかも……何人居た?
両手押さえられて……
「……うっ……ごめん……ふっ……」
「えっ?!泣い……えっ?!ごめん!」
空閑が、パッと俺から離れた
「……うっ……空閑っ……」
「はい!ごめんなさい!ちょっとふざけ過ぎました!」
「友達が……知らない奴等に連れてかれて……見付けた時には……顔殴られて、頬っぺたナイフで切られて…Tシャツ引き裂かれてて……」
「えっ?!待って待って!何?怖い話?」
「両手首に…指の痕分かる位のアザが出来てて……倒れてたんだ……」
「いや、それ……俺じゃなく警察に言ってくんない?」
「……犯人、分かんないんだ」
「分かんなくてもさ……立派な犯罪だろ」
「警察に言ったら……体とか……調べられるかもだろ?」
これ以上……
傷付ける様な事……
「……それで……男同士の事聞いてた感じ?」
「……分かんないんだ……何も言わないし……調べる訳にもいかないし……」
「その友達って……男って事だよな?」
「男……だけど……童顔っつーか……この前も電車で痴漢に合ってた」
「はあ?!どんな男だよ。えっと……いや、冷静に考えて、そんな事されたら、絶対様子おかしいだろ。すっげぇ怯えてるとか、泣いてるとか、震えてるとか……」
あそこで目覚めた時も……
全然……
俺の方が、取り乱してた……
「全然……何にも……その日は酒に酔ってるのもあったけど……次の日も、全然……元々、凄く我慢強い奴で……自分の事なんて、どうでもいいと思ってて……真面目な話しても、いつもふざけて……」
こうやって心配するのも迷惑なのかもしれないけど……
「なあ?もしも…そういう事実があったとしたら……体、大丈夫なのか?あいつは……全然普通に動いてたけど……顔も手首も、見てるこっちが痛い位なのに、まるで怪我してる事に気付いてないみたいに……」
「……その子、今まで男との経験は?」
「ある訳ない!……と思う…」
あの1週間で、何をしてたのかは知らないけど……
「じゃあ…多分ちゃんと最後までって事はないと思う。もしも、無理矢理されてたら、さすがに普通には動けないと思うよ。だから、そういう意味での負担とか心配はないと思うけど……それ以外にも色々出来る事あるだろ?男に興味もない奴が、無理矢理そんな事されたら……精神的ダメージが凄いと思うけど……お前、一緒に居なくて良かったのか?」
「……ちょっと…今、気まずいって言うか……多分……俺に構われたくないと思うから……」
俺だって、ほんとは一緒に居たかったけど……
「はあ…なんだか、こじれてんなぁ。雪だっけ?連絡してみたら?」
「……えっ?!何で……雪って…?!」
「その日も、次の日も一緒にいるなら、一緒に住んでる奴だろが」
「あっ…!空閑!雪だって事…」
「言わないよ。言って、俺が得する事なんて、何もないよ」
「はぁ……俺…一緒に居ない方がいいのかな」
「何があったのか知らないし、雪が何されたのかも分かんないけど…知らない男達に襲われたのはほんとなんだろ?そういう時、傍に居て欲しいのって、誰でもいい訳じゃないと思うけどね」
「……タイミング見て……もっかい話してみる……はぁ……」
ん?
「何、ニヤニヤしてるんだ?」
「いや…落ち着いたら1回、その雪って子に会わせろよ」
「……嫌だ」
「なんで?!」
「……胸に手を置き、数分前の事を思い出せ」
「雪には手出さないよ。つまんなそうだし」
「はあ?」
「今度、続きしようね♪︎」
「する訳ねえだろ!」
つまんなそうってなんだ?
でも、やっぱり
もっかい、ちゃんと話さなきゃな
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