精霊降臨の偽

序章

　俺は細川(ほそかわ)真貴男(まきお)。今、目の前では、何やら奇妙な儀式が行われようとしている。だが、ここがどこなのか、そして何故俺がこんな場所にいるのか、さっぱり分からない。あの夜、会社を終えて、弟にオーダーメイドのジャケットを届けた帰り道に、突然耳に奇妙な叫び声が響いたのだ。

「Ah〜〜〜〜〜chichipot!!　pot!!　pot!!　pot!!」

(何や？　この変な声は？)

　その変わった叫び声が聞こえた瞬間、意識がゆっくりと薄れていき、俺は地面に倒れ込んだ。そして、次に目を開けたときには、見知らぬ村の中に横たわっていた。辺りは静かで、古びた民家が点在している。どうやら、ここは田舎の村のようだ。村人たちの話によると、毎年この時期に伝説に基づいた儀式が行われるらしい。どうやら、今日はその儀式が行われる特別な日だという。

(一体、俺は何に巻き込まれたんや？)

　祭りのような賑やかな雰囲気とは裏腹に、胸には不安が押し寄せてくる。村人たちは笑顔で語り合っているが、俺の心には落ち着かない感覚が拭えない。何かが、この村の奥深くで動いているような、そんな気配を感じた。

　祭壇には、華やかな装飾が施され、村人たちは祭りに向けて忙しそうに動き回っていた。俺は、儀式に参加しながら、どうやって元の世界に戻れるかを考えていた。奇妙な叫び声と、この謎の村。その繋がりを解明しなければ、俺は永遠にここに囚われたままになってしまうかもしれない。村中に伝説の事を聞きに回った。その伝説は村の運命を左右するものだった。