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部屋で一人、お気に入りのぬいぐるみを抱きながら、さっきのキスと涼太の言葉を反芻した。
思い出す程に顔が赤くなるのが自分でも分かる。
私、涼ちゃんのこと……好きなんだ。
ずっと好きだったんだ。
そう自覚した途端に胸の辺りがほんわりと温かくなった。
何これ?
こんな感覚初めて。
こんな風に胸の辺りが温かくなったことない。
翌朝、いつもの様に玄関前で待っている涼太と登校する。
二人とも気不味さのあまり何も話せなかった。
教室では、相変わらず唯と翔が一緒にいる。
私は二人に近付き、
「おはよう。ねえ、ちょっと聞いてもいい?」
と、昨日の涼太の発言について聞いてみた。
「涼太先輩の匂いが大好きって、それヤバいよ、翼。」
「男には殺し文句だね。私をどうにでもしてって言ってる様なモンでしょ。」
「そ、そうなの!?」
「で、翼。何も無かったとは言わせないわよ。」
「あ……」
「ふーん。キスはしたんだ。」
昔から親友の唯には何でもお見通しだ。
「何でわかるの?」
「やっぱり。カマかけてみただけなんだけど。」
唯はカラカラと笑った。
「それでね、涼ちゃんのこと考えると胸のこの辺が温かくなるの。」
「それ、俺も唯の事考えたり、キスしたりするとなるよ。」
「私もなる。」
「皆んななるものなの?」
「皆んなはならないみたいだよ。だから、私達だけかと思ってた。多分これ運命の二人だからじゃないかって翔と話してた。」
「じゃあ涼ちゃんは私の運命の人?」
「翼。素直になれよ。とっくに分かってたでしょ。」
「早く自分の気持ちに正直になれって。」
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