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中学や高校で、フェミニンなオーラを持つ男の子が、女性生徒に憧れの目で見られる先輩が居たから何となくわからる。彼はそんな存在。
「あ、希子ちゃん、ごめんね。長話に付き合わせちゃって。まずは課長に会ってもらおうと思ってたんだけど今日に限ってまだ来てないの」
「課長さん……課長さんって階級はどのぐらいなんですか?上から目線とかじゃなく、ただの好奇心です」
警察は課長や刑事部長のような役職とは別に階級がある。よく耳にする巡査や警部補がそう。
在籍期間で昇格する場合もあるが、早く上がりたかったり、規定があったりで、試験で合格しなければ就けない階級もある。
「課長の階級は、警視よ」
「け、警視っ?」
確か、巡査の次が巡査部長、次に警部補、警部、その上が警視だったはず。警視庁じゃなく、地方の警察署なら署長をしている場合が多い。
警視。
響きがカッコいい。凄く、凄くカッコいい。
でもイコールベテランということ。定年が60だから50代後半の可能性が高い。
日本の首都、東京を守る警視庁の刑事課の課長。役職は警視。50代後半。
……怖い人、確定。
テレビのドキュメンタリーを見ていても、刑事課の課長は一般人とはまったくオーラが違った。
一見したらヤクザと紙一重のような風貌と言葉遣い。
女性刑事でも男性と同じように接していた。
それを覚悟で警官を目指したけれど、いざその状況が目前に迫っているとなると、緊張せずにはいられない。
大きく深呼吸をしている途中でドアが開く音がする。
同時に事務所へ居る20人ぐらいの人たちが席から立ち上がり「おはようございます」と低く力強い声が響いた。
ヤクザの組事務所で組長を出迎えるような雰囲気……
「ちょうどいらしたわ。すぐに挨拶に行きましょうか?」
早くなる脈で鼓膜に心音を感じながら、みんなが向ける視線の先を辿って、私は愕然とした。
まさに、開いた口が塞がらない。
……まさか、嘘、嘘、嘘。
「あの人が刑事二課の近藤 陽之季課長」
目の前には、つい先ほどまで一緒に居た、国宝級のイケメンの姿。
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