2603人が本棚に入れています
本棚に追加
「は、はい、かしこまりやした。失礼ですがお名前は?」
「警視庁の近藤とい」「相棒の望月です」
私は案内係の綺麗な女性と近藤課長の間に入り、強く言った。
まるで私は番犬。金魚のフンからは少し出世している。
女性は私の圧倒的な雰囲気からに身を引くと「かしこまりました」とたじたじとなりながら呟いた。
近藤課長は間に立つ私を強引にどけて「ありがとうございます。また来ます」と爽やかな笑みを浮かべる。
私も何か言いたかったけれど「行くぞ」とだけ、彼に伝えられ、とぼとぼと彼の背を追った。
案内係の女性や受付、待合室の年齢問わず視線を集めるなんて、近藤課長なら当然。
いくら芸能人が変装して街中を歩いてもバレるのは、容姿だけじゃなく一般人には持ち合わせてないオーラのため。
近藤課長もそう。近距離なら尚更、その雰囲気に飲み込まれてしまう。
24時間いつも一緒だったから、慣れてしまっていたけれど、改めて彼は異質な存在だと気づかされる。
駄菓子で言えば近藤課長はレアなキラキラシール、小さなチョコやガムが少しばかり入っているみたいな存在は私。
「これでわかっただろ?」
予期しないタイミングで声をかけられ「はい?」ふわふわとした返事を返す。
「希子はあの居酒屋ではパクチーを食べていない、しかしたらふく食べたアルジュンさんや他のお客は国際医療センターに救急搬送で運ばれた。アルジュンの場合は、希子と離れた後、路上で倒れていたそうだ」
「ええ、パクチー嫌いで一命をとりとめました」
「それはそうだが、俺の意図する内容じゃない。考えてみろ」
いきなり問題形式?
考えろって言われても自分が助かった安堵とアルジュンが回復してほっとしたことしか思い浮かばない。
最初のコメントを投稿しよう!