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警察学校は府中市にあり、警視庁は千代田区にある。
家から府中市まではそうでも無かったのに、千代田区となると電車内の様子はまるで違う。
今日からこれが続くと考えるだけで、吐き気がした。
とにかく早く座りたい。
いくら訓練をしてきたからといっても、立って動かないなんていう訓練は受けていない。
本当に東京の人はタフだなと実感した。アスリートより、ある意味、鍛えられている。
「ここ、どうぞ。座って下さい」
目の前から聞こえた言葉。
私は飛び付くように椅子に座ろうとして、はっとする。
声をかけられたのは近くに居た杖をついたおばあちゃんだった。
すくりと立ち上がった男性は160センチの私より遥かに身長が高く180センチ以上はある。東京では珍しくないけれど、注目はそこではなくて容姿だった。
計算されたかのような整った目鼻立ち、綺麗な瞳は気を抜けば吸い込まれそうになる。
中央でかき上げられた黒髪は雨で濡れ、大人の男の色気が溢れていた。年齢はたぶん30歳から35歳の間。
よくメディアで国宝級イケメンという言葉を使われるけれど、それは彼のためにあると思った。
私なりに分析した結果、彼の色気はクールな雰囲気を纏っているからに違いない。
選ばれたひとつまみの中の、さらに選抜された人しか持つことが許されない独特なイケメンオーラ。視線を捕らわれてしまう。
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