19、東京拘置所

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ヌチは廃工場に着地した。手下は集まっていた。 魔物ばかり約50。元は人間。私、ヌチは元々魔物だ。 そこは心霊スポットになっていた。市松人形の幽霊が出るってさ。笑っちゃうね。人間は本当に醜い本性を晒してくれる。殺された人間が幽霊になるかよ。どういう思考回路してんだ。笑いしか出ない。 散々同情するふりして、この廃工場で「肝試し」をする。 「あはははは。。。笑うなって方が無理だ!」 手下の1人が「姐さん、どうしやすか?」と訊いてきた。 「決まってんだろ。人間を扇動してコンビニを襲撃、略奪。空き家に入ってパクるんだよ。年寄りだらけの東京はタンス預金の銀行だ!」 取った分だけ好きに後で使える。上納金は「汚い人間の気」だ。集団でやるチームプレイだ。乗ってきた人間は後で処分して「上納金」にする。 人間で見込みがありそうな奴を集めろ!キーワードは「他人(ひと)のせい」だ! こういう精神構造の人間は腐るほどいる! 今日は震災当日だ。私らの活動は、明日以降だ。 1日メシを食わないだけで人間は変わる!明日の夜から派手にやってやろうぜ!」 ヌチは美しく微笑みながら、数十人の手下に言った。 「今晩は乗っ取りで女の上に乗って遊んで来い。インフラが効かなくなった東京は闇の夜だからな。楽しめ!前夜祭だ!パーティーだ!」 混乱時の強姦など、あって当たり前だ。戦後もあった。震災後も日本は公式には隠している。震災の後の性的暴行の多発を。 それは、もう獣の本能なのだ。 死が迫りきているから遺伝子を残したい。雄の本能。こんなのつける薬がない。 手下は男の魔物ばかりじゃない。女もいる。 女は男の魔物が人間の女を痛ぶっている時、泣いている人間の女を鑑賞するのが大好きだ。 その本性は人間であった時と全く変わりない。本当の闇に堕ちて魔物にまでなる元人間は、その素質を生まれた時から持っている。 だから、召し上げも必要ない。勝手に「黄泉国」まで堕ちてくる。 ヌチの正体は、「黄泉国」の優秀な女大臣。時々、バカンスで『龍の島国』にやってくる。人間として生まれて死ぬまで組織を拡大する。 最初の頃こそ、バラバラにされたり、人間にしてやられることがあったが、経験値を積んだ後は逆にバラバラにする方になった。 ヌチは『龍の島国に来る度、人間の悪意と闇を利用し沢山の光の側の人間たちを闇に落としてきた。 あの縄文のカケルでさえ引っかかった。 『透き通った透明な(こころ)』の持ち主までも。 闇堕ちさせる度にヌチ自身は美しくなった。 「絶世の美女」だ。 外見が美しいだけで十分人間を騙しやすくなった。鉄砲玉にはヌチの伽の相手というご褒美をやった。 一発やったくらいで女は所有物にはならない。そんな簡単なこともわからない馬鹿どもは八つ裂きにしてやった。 安達実果は、あえてギリ普通の容姿にした。集団に紛れて行ったミッションだったからだ。ギリ普通の容姿。一番目立たない。
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