俺の彼女の浮気調査

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俺の彼女の浮気調査

マモルとケイタは、地元の同じ大学に進学した。 「俺、彼女できたんだ」 マモルは、ゴールデンウィーク明けにケイタに報告した。 「はや。いつの間に」 「学部が同じで、ゴールデンウィークみんなで遊んだ後に告白したらOKだった」 「いいなぁ。理系は野郎ばっかりだから」 「お前が俺の尻を触ってるのを見てたらしくて、俺たちが付き合ってると思ってたみたい」 「もうさ、二年近くほぼ毎日の習慣だから、やらないと落ち着かないレベルにはなってる。でも、彼女からしたらヤダろうから、やめよう。しかもはたから見たら、俺がお前を好きみたいだよな。なんか癪に障る」 「ああ、なんか彼女から『マモル君が受けなんだと思ってた』って言われて、彼女の中では俺たちの関係は進んでたよ」 「俺がモテないのは、もしかしたらゲイ疑惑でみんな遠慮してるからかもしれない」 「そうだといいけどな」 「とりあえず、お幸せに」 「俺も少し寂しいが、お前のためにカラフルなパンツを選び続ける人生とお別れだ。正直、色だけのパンツではバリエーションが限界だったから、キャラクターものを履いてたけど、もし今事故にあって病院で脱がされたら恥ずかしいな、とは思ってた」 「マモルのパンツ解放記念日だな」 こうして、俺たちのパンツ超能力検定は終了した。 ♢♢♢ それから半年後。 「ケイタ、彼女が浮気してるかもしれない。一緒に調べてほしいんだけど」 「浮気? 何があったの」 「最近、メッセージの返信がないし、よく同じサークルの早乙女と一緒にいるんだ。仲良さげに」 「へぇ……調べるって、どうするの?」 「彼女の部屋から小物を持ってきたら、読んでくれる? 浮気現場が視えるかもしれない」 「そうするとさぁ、彼女の着替えてるとことか、下手してお前らがヤッてるとこが視えちゃうかもしれないんだよね……」 「え? そうなの?」 「都合のいいとこばかり視えるわけじゃないよ」 「そっか、じゃあダメだ……。お前、よくそんなトキメク能力がありながら、マトモでいられるな」 「ああ、唯一意識的に使ってる場面が、お前のパンツの色当てなんて、神さまもガッカリしてるよ、きっと」 「もっと、人の役に立つ場面がほしいよな。だからまず手始めに、俺の彼女の浮気調査だ」 「能力の凄さと、事件の重大さが釣り合ってないけどな」 「今度、早乙女の方からなんか持ってきてみるよ。赤の他人のなら、少し気は楽じゃない?」 「そういうのを、のぞきって言うんだけどな。やっても、一回だけだからね」 「ありがとう。潜入捜査してくるわ」 ♢♢♢ 1か月後。 「事件の真相が分かったよ」 「まだ俺、超能力使ってないけど。しかも、事件だったんだ。やっぱり浮気してたの?」 「してなかった」 「じゃあ、事件ですらないじゃん」 「まあ、聞けよ。あの後、俺は早乙女と仲良くなって、早乙女の家での宅飲みに参加することになったんだ。みんなポツポツと帰り始めたんだけど、みんながいるところで物を盗るわけにはいかないから、俺は最後まで残ったんだ。あいつのベッドの頭のとこに、ガチャガチャで出てくる人形がたくさん置いてあったから、そこから一個拝借しようと思ってた。で、あいつがトイレに立ったから、その人形に手を伸ばしたんだ」 「うん、それで?」 「早乙女に後ろから押し倒された」 「え……」 「アイツはゲイだから、俺の彼女とは浮気してない。そして、俺は彼女と別れて、早乙女と付き合うことになりました」 「そう……肝心なところは全カットだけど、事件が起こったわけだ」 「ノーカットバージョン知りたい?」 「よしとく。ちなみに、お前、結局受けなんだな」 「彼女も透視できる人だったのかな?」 「むしろ予知じゃない?」 「そういうわけで、俺のパンツにはアイツとの思い出が刻まれて行くだろうから、視えた時はよろしく」 「偶然でも嫌だな……。でも、新しい恋人ができて、とりあえずおめでとう」
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