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それから数日後、エオリア達が城を離れる時がやってきた。彼女は、半数ほどの一族を連れ新たな居城へと引っ越していく。
母から受け継いだ王冠を頭に乗せ、ハニスは最後の挨拶をした。
「お母さま、くれぐれも気を付けて。いくら、人間が管理している場所とはいえ、外敵が全く入らないとはかぎりませんからね」
「分かっているとも。女王歴はお前よりも長いのだ。お前こそ、住み慣れた場所だからと安心するな」
「も、もちろんですわよ!」
ハニスはふいっと顔を背けた。
「ふふっ……。では、我々は出発する。達者でな」
そう言うと、エオリアは羽を羽ばたかせ飛び立った。それに続き、他の者たちも飛び立っていく。
蜜蜂の分蜂。
もしかしたら、こんな物語があったかもしれない──。
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