女王の決断

　女王エオリアは自室に戻ると、部下が持ってきた資料に目を落とした。次の移転先の情報が事細かに記されている。すでに２つの候補に絞られてはきているが、どちらも決め手に欠けていた。

「どちらも林の近くにあるし、同族の縄張りからも外れている。どちらを選ぶか悩ましいところだわ……」

　城を出る女王は、自分に付き従った者たちと共に新たな土地に城を築かなければならない。そのため、継承が行われる前にあらかじめ下見をする必要があった。

　これから先、一族が増えるまでの間暮らす場所だ。十分な考慮が必要になる。より良い環境の場所を選ぶことが女王に課せられた使命だと、エオリアはそう考えていた。