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01p:朝
―第五次聖杯戦争は、その命を果たせないままに終結された。
一組の滑稽な主と従者により。
その中身は、
約束された勝利の剣により滅された。
本来なら、聖杯の魔力のバックアップがあったサーヴァントは、
その魔力のもとが無くなったところで
その体も、もとある<英霊の座>に伏す事が決定づけられた。
しかし、主(マスター)達は、
武器、戦力、畏怖、威厳
そのどれを選ぶ訳でも無く、
ごく普通の、
ありのままの
人間感情で最低限の魔力をサーヴァントに受け渡し続け、
今も英霊を従者という形で、
その生を続けている。
士郎、それで良かったのかい?
「っ!?」
布団から跳ね起きる。
日はまだ昇りきっておらず、時刻は五時を回ったところ。
「なんだ、今の夢…最後の声、親父…だったよな」
どうも寝覚めが悪い。
一時期の悪さには劣るが、それでも悪い方だ。
最近はよく眠れていたのに。
「っと、そうだ。いつもよりは少し早いけど、朝飯の下ごしらえでもしとくか」
ただでさえ忙しい弓道部の後輩にわざわざ来てもらって朝飯を作らせるには先輩としての名が廃る―
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