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7.悲しき愛の誤解 第6話 ★
第6話 わたしのことを怒っていらっしゃるのですか……? ★
「ここはこんなに濡れているし、乳首も、もう尖って固くなっているな。こんなに乱暴にされて感じるなんて……。君は本当に淫乱だな」
「や、そん、な、あぁっ……」
自分の体の反応が恥ずかしくてならず、クリスティーナは必死に身をよじった。
何とかレスターの拘束から抜け出そうとしたが、すでに熱く反応してしまっている身体は、うまくいうことを聞いてくれない。
よろめきながらもなんとか歩き出したのだが、すぐにもぐらりと体のバランスを崩してしまう。
そのまま、足を進めた先にあったベッドに倒れ込みそうになる。
転ぶようにして前に倒れそうになったクリスティーナをレスターの腕が後ろから支える。
背後から抱き止められ、顔からベッドに衝突せずに済んで、クリスティーナは一瞬ほっと安堵した。
しかし、クリスティーナを支えたレスターの腕は、なおも離れることはなかった。
それどころか、体が折れるほどに強く、後ろから抱きすくめられてしまう。
「あ……、ありが……」
戸惑いながらも振り向いてお礼を言おうとしたのだが、次の瞬間だった。
クリスティーナの真っ白な首筋に、ふいに、かぷりとレスターの歯が当てられる。
感じたことのないその新しい刺激に、クリスティーナは思わず高く声を上げた。
「やんっ……! ……あ、あぁっ……」
何とかこらえようとしたのだが、いやらしい声をこらえることができなかった。
甘噛みされた唇の中からレスターの熱い吐息が漏れて、感じやすい首筋をくすぐり、ぞくぞくと全身を電気が走るような痺れが襲う。
自分でも驚くほどに淫らになってしまったこの身体を、……レスターは軽蔑しているのではないか。
そう思い当たり、首筋を舌で撫でられながらも、クリスティーナは半泣きになって訊いた。
「もしかして……、んっ。わ、わたしのことを、ひ、ひぁ……、怒っていらっしゃる、の、ですか……?」
違うと言ってほしい。
しかし、そのクリスティーナの願いは、すぐに裏切られた。
歯を当てられ、ちりちりと痛むそこを、今度は濡れた舌で柔らかく愛撫しながら、レスターはくっと笑った。
「正解だ。よくわかったな、クリスティーナ」
「っ……」
クリスティーナは、息を呑んだ。
悲しくていられなかったが、それでも謝らないわけにはいかない。
「ごめんなさっ……。わた、し、こんなつもりじゃっ……。あ、んん!」
謝罪の言葉は、途中でレスターの唇の中に消えてしまった。
レスターは、強引にクリスティーナの顎を自分の方へと振り向かせ、唇を吸った。
無理のある姿勢で貪るように深々と唇を奪われ、クリスティーナは拒むこともできずにキスに応じさせられた。
「んっ、んんう……」
彼を不快にさせてしまったことにも申し訳なく思っているはずなのに、レスターの舌が自らの舌に絡むうちに、身体はますます甘く痺れていく。
今は刺激を受けていない秘処が、意思に反して勝手にどんどん熱くなり、クリスティーナは太腿を擦り合わせた。
その間にも、コルセットのホックはどんどん外され、クリスティーナの白い姿態が露わになっていく。
「あっ、や……」
大きな胸をさらに揉まれ、体が内からじわじわと熱くなっていった。
瞳を潤ませて声を漏らしているクリスティーナを、レスターはじっと見つめた。
「君は浮気な女だな。夫となる男にここまで密に身体の秘密を教えたというのに……。まだ心に別の男を住まわせているのか」
苛立ちの滲んだ声で言われ、クリスティーナは目を瞬いた。
彼の言っていることがわからず、思わず訊ねる。
「べ、別の男……? それは、いったい……」
「たった今あの侍女に、君が自分で言っていたじゃないか。……君にはずっと、虜囚の身だった間も想いを寄せている男がいる、と」
「……!」
ようやくレスターが何を言っているのか理解でき、クリスティーナは大きく目を見開いた。
――彼は、クリスティーナがあの侍女と話していたことを耳にしていたのだ。
クリスティーナは、慌てて首を振った。
「待ってっ! 誤解です、レスター様……」
「誤解だって? 幾度となく愛し合ったこの部屋で――君のために作らせたあのウェディングドレスの前であれだけはっきりと他の男の話をしておきながら、どの口でそんなことを言うつもりだ? 君は本当に嘘つきだな」
「それは……。ごめんなさい。でも、どうか、わたしの話を……」
何とか彼から身を離し、話を聞いてもらおうと体を暴れさせたのだが、レスターは腕を解いてはくれなかった。
それどころか、拘束から逃れようともがくクリスティーナの両腕を、きつくまわした左腕でレスターはさらに強く抱きしめた。
「嫌だ。嘘つきの話など、聞く耳を持つつもりはない」
「そんなっ……」
クリスティーナの細腕では、男のレスターに力で敵うはずがない。
ほとんど動くことのできなくなってしまったクリスティーナの身体を、レスターの右手が激しく蹂躙していく。
ドレスを締める紐が次々解かれ、床に音を立ててそのまま落ちる。
花のようにふんわりと床に咲いたドレスの上で、今にも脱げそうなほどに緩められたコルセットだけを身に着けたクリスティーナはレスターの強い愛撫を受けた。
あられもなく肌蹴ている胸元をまさぐられ、豊かな乳房を寄せるようにして二つの突起を弄られる。
「うぅ、あ、あぁ……」
すでに固く尖っているそこを指の腹で転がされ、クリスティーナはきつく目を瞑った。
その瞬間苦い涙が零れ落ちたが、どれほど頑張ってみても、喉の奥から湧き出るような声を抑えることができない。
手の中に強引に集めた二つの膨らみを強く揉まれ、クリスティーナは身悶えしながら首を振った。
「や、やめてぇ……」
けれども、レスターに止まる様子はなかった。
体を折り、今にも倒れ込みそうなほどに前屈みになって快感に悶えているクリスティーナの横顔を眺め、彼は忌々しげに言った。
「左利きなのか、君をたぶらかした男は。どうせ君は、どんなに問い詰めたところでその男の名を口には出すまい。――いっそのこと、この国にいる左利きの男を、残らず処刑してやりたい気分だ」
「っ‼ い、いけません、そんな……っ。……ああぁっ!」
大きく声を上げてレスターを止めようとしたのだが、その瞬間ぎゅっと力を込めて胸の頂を摘まみ上げられ、言葉にならない。
「まだそんなことを言う気か。他の男を庇う言葉など、聞きたくない」
「違、わたしは、あなたのために……っ」
必死に言ったのだが、レスターの心には、どうしても届かない。
彼は、クリスティーナの乳房に激しい愛撫を加えながら囁いた。
「君の言葉など……。今さら俺が信じられると思うか? 君のことで信じられるのは、この体の反応だけだ」
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