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「で、どんなお話で?」
しゃしゃり出てきた崇志の頭を、ヒナタはペシンと叩いた。
「あんたはちょっと引っ込んでなさい」
ふたりの漫才に、みやび先生は可憐に声をあげて笑う。
「ふふっ、ふたりとも相変わらず元気そうね」
「はい、俺は元気です」
まるで小学生のような返事をする崇志は、大学時代から、大塚みやび先生の大ファンだった。
みやび先生は日本文学の准教授という才女。
しかも和装が似合いそうなキリッとした美人で、崇志が所属していた陸上部の顧問でもあった。
理知的指導をもって崇志を幅跳びで国体選手に導いた名指導者でもある。
「えっと、まずは、こちらにお座りください」
ヒナタはみやび先生と先生がつれて来た女性に、さっきまで寝転がっていたソファーを勧めた。
女性は小さく頭を下げて、さらさらと名乗った。
「郡真央といいます」
「ウヒャー真央ちゃん。これまたかわいい名前やね」
「コオリです」
はしゃぐ崇志にコオリはピシャリと言って、文字通り冷たい視線を向けた。
なるほど。
崇志の扱い方を、ちゃんと先生から聞いてきているらしい。
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