ツチノコ探偵事務所

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(コオリ)真央も和風の顔立ちをした、腰まである長い黒髪が特徴のこれまた大変な美人だ。 「それでお話とは?」 改めてヒナタが切り出せば。 「ストーカーを見つけて欲しいんです」 と言った。 「ストーカー?」 崇志とふたりで声がそろった。 先にも言ったが、ここは失せ物捜し物、ペット捜索がメインの探偵事務所だ。 ストーカーなんて、そんな本物の事件など扱ったことはない。 「それ警察に相談することじゃないですかね」 昨今、ストーカーがエスカレートして起こす凶悪事件は、ニュースでもしょっちゅう取り上げられる。 こんな弱小探偵事務所に相談にくるより、まっすぐ警察に駆け込んだ方がよっぽど間違いない。 情けない話だが、依頼人の安全を考えれば、そう言うしかない。 しかしコオリは、ふるふると首を振った。 「どこの誰だか、わからないんです」 「心当たりがないんですか?」 「心当たりがないというより……」 困ったように言葉を濁した。 もしかしたら、これだけの美人さんだ。 心当たりがありすぎて、犯人が特定できないパターンかもしれない。
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