ツチノコ探偵事務所

4/6
前へ
/100ページ
次へ
多少の嫉妬心も加わって、 「あー、それだとなお難しいですね。ウチは人員も少なくて、調査できる者も限られているので」 とヒナタが言いかけると、 「違うのよ」 みやび先生が口を挟んできた。 「コオリさんが言うのは、言葉通り、相手がさっぱりわからないということ。警察にはもちろん相談済みよ。だけどどんなにパトロールを強化してもらっても、効果がないどころか犯人の正体さえ不明なの」 「どういうことですか?」 「相手の存在がさっぱりわからないってこと。尻尾を掴ませないというか。 警察が言うには、コオリさんの周りにはストーカーはいないのですって。しまいには、ストーカーという存在自体、コオリさんの幻覚じゃないかとまで言われたわ」 みやび先生はそう言って、コオリを促した。 コオリはカバンから一通の白い封筒を出して来た。 「幻覚なんて言われても、今朝も実際に、こんな封筒がマンションのポストに入っていたんです」 表書きには手書きの固い文字で郡真央様の宛名が書いてあった。 差出人の名前はない。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加