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ヒナタがコオリに確認してから封筒を開けてみると、中の手紙には、
「お互いのすれ違いのせいで、こんな大騒ぎになってしまった。ちゃんと話し合えば、警察がくることもなく、誰にも迷惑をかけることもなかっただろう。真央ちゃんもう一度話し合おう。逢いたい」
という文章が書かれていた。
「もう一度話し合おうって書いてありますけど、一度どこかで逢っているんですか?」
ヒナタが再度確認するように問うと、コオリは首を振った。
「本当に心当たりがないのです。どこの誰だかもわかりません」
コオリの言うことは本当なら、ひどく思い込むタイプのストーカーだ。
それなら警察ももっと親身になって相談にのってくれてもよさそうなものだが、
「でも防犯カメラには犯人の姿が映っていなかったの」
みやび先生が言った。
その言葉に、ヒナタと崇志は顔を見合わせた。
「どういうことですか?」
「玄関にある防犯カメラには、怪しい人の姿は映っていなかったってこと」
みやび先生は肩をすくめる。
「昨夜、コオリさんのお父様が帰宅したときに、ポストが空なことは、ちゃんと確認したの。でも今朝には、この手紙が入っていた。
だからマンションの管理人さんに頼んで、玄関の防犯カメラの映像を見せてもらったのよ。だけど昨日の夜、お父様が帰っていらしてから今朝まで、怪しい人はマンションには誰も来ていない」
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