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みやび先生の言葉を受けて、ヒナタは再確認した。
「宅急便とかウーバーイーツとかの人は?」
みやび先生は首を振る。
「お父様が帰られたのが深夜だったこともあって、誰も出入りしていないのよ」
するとそれまで黙って聞いていた崇志が、ボソリと漏らした。
「なんやそれ。まるで透明人間やな」
コオリは、それを崇志のジョークだと捕らえたらしい。
頬を引きつらせて笑顔を浮かべようとする。
笑えないジョークに笑ってくれる、なかなかいい人だ。
みやび先生は小さく息を吐いた。
「だからコオリさんは、警察から自作自演を疑われてしまったの」
コオリがうつむく。
防犯カメラには怪しい人の姿は映っていない。
だけどいつの間にかポストに手紙が投函されている。
不思議な話だ。
だけど、そんな話を訴えたせいで、コオリさんは警察から見放されてしまった。
みやび先生はふたりを見つめながら言った。
「ね、これは、あなたたちに相談する事件でしょう」
ヒナタと崇志は視線に応えて力強くうなずく。
「ええ、おまかせください。郡真央さん。あなたのストーカーは我々ツチノコ探偵事務所が必ず見つけてみせましょう」
事件が始まった。
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