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異世界転生したのは、問題ない。
前世はありふれた一般男子高校生だった。
そのまま大人になっても大した人生にはならなかっただろう。
だから異世界に来たのは、いいんだが。
なんか、この世界、設定が甘いっていうか、なんというか。
俺の想像していた異世界とちょっと違うというか。
たとえば。
これは、雑踏の中で聞こえてきた会話だが……。
「やべー、就活失敗した。ブラック企業確定」
「社畜乙」
「サブスク解約っていつも忘れね？」
「で、うちらのクラス仕切ってんのが、実家太い一軍女子軍団でさぁ」
と、こんな感じで。
異世界にふさわしくない俗っぽい言葉が交わされているのである。
いやいやいや！
もっと設定詰めてくれ！
せっかくよく見るRPG風の街並みが広がっているのに！
魔法が存在する、ファンタジーな世界観なのに！
何が実家太い一軍女子だ！ そこは悪役令嬢であれ！
……と、このように。
いつも脳内でツッコミを入れながら生活している。
いい加減もう慣れたけどな。
こっちに来て一年半くらいはたつし。
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