仲間探し

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「実際、もう俺の手は必要ないっていうか。そりゃ初めたての頃は忙しくて寝れねーし、休養日もカーテン閉めて仕事してたけどよ」 俺はカナが入れてくれた紅茶を飲みながら言った。 「商売が軌道に乗って安定したら、ある程度パートに任せられるようになったからな。営業とか新人教育とかは、もう俺は監督するだけにしている」 「へー」 「元々魔導協会やその関連施設で働いていた魔法使いがほとんどなんだよ。エリート揃いで頭の回転が早くて気が効く。この世界の細かい習慣や礼儀作法を教えてくれるし」 「そっか、だから今は気兼ねなく休養日に休養できてるんだね」 カナが感心している。 休養日のレストランの店内は、当たり前だが静かだ。 カナも普段着で着席している。 キッチンからはおかみさんの台所仕事の音。 平和な午前の光景だ。 「ところで、リリィは?」 一緒に来なかったの?と、カナが訊ねる。 「ああ、それなら……」 俺が答えるのとほぼ同時に、 「やあ、カナ。7日ぶりだな」 と、入口のドアを開けてリリィが入ってきた。 「リリィ! おはよ、久しぶり」 カナが言い、リリィの分の紅茶を用意するね、と忙しなく立ち上がった。 「おかまいなく。ロージー、ずいぶんくつろいでいるな。主人があくせく動いているというのに」 「お前なぁ。ついてくるなと言ったのはリリィの方だろ」 「ああそうだったな」 リリィは悪びれもせずにどかりと椅子に座る。 両手に大きな手提げ袋を抱えて。 カナが、 「なに、その荷物」 と訊ねる。 「本と雑誌と新聞だ」 「それ全部? 重そう!」 「袋に浮遊魔法をかけたからどうってことはない」 便利だよな、魔法って。 ほぼチートだ。 「魔法学校の同期に、本の虫がいてな。流行りの大衆小説を貸してくれないかと頼んだら、この有様さ」 リリィが呆れながら言う。 カナが、 「流行りの大衆小説?」 と聞く。 俺は説明した。 「この異世界に、俺たちの前世で流行っていた物語が輸入されていないか確認したいんだ」
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